メルラバ
嬉しかった。

秋の言葉が嬉しい。

彼の言葉を借りるなら、ほんまめっちゃ嬉しい。

そうだ。私が望んでいたのは、これだ。

小説は顔も名前も知らない人へと送るメッセージ。

伝われ、伝われ。
そう祈るように願いながら紡ぐ言葉達。

私はそんなふうに小説を通じて、誰かの心を動かしたかったんだ。


共感、共鳴、感動。

私が奏でる言葉が誰かの心に、すっと。
すーっと浸透して心のどこかに触れること。

伝えて伝わって、感じて感じ合って、わかりあうこと。

それが私の望む形。

だけど今は、確かに私の小説を読んで、共感出来たとか、感動したとか、そんな嬉しい感想をたくさんもらっている。

でも、肝心の私がなにも感じない。
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