メルラバ
『夜分にすみません。楡川です。寝てましたか?』

「ううん。原稿書いてたから」


『あぁ、お仕事のじゃまをしてすみません』

「ううん、休憩しようかなって思ってたから…。どうしたんですか?」


電話の向こう、楡川さんが深い溜息をこぼした。

『あのですね…』

と話し出す楡川さんの声は、とても疲れきっていて、いつも理路整然と物事を説明してくれる彼らしくない。

話が全くもって釈然としないのだ。
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