メルラバ
「なぁ。なんか怒ってんの?」


先に沈黙を破ったのは秋だった。
声に少し気まずさが混じっている。

怒る?
私が?

返さなかったメールや、誘われても行かなかった劇場。

その理由を、秋は、私が何かに対して怒っていると勘違いしている。

怒ってるんじゃない。
ただ意気地がないだけだ。

だけど、それすら言葉に出来なくて、私は首を横に振るだけで精一杯。
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