メルラバ
信号が青に変わり、車は緩やかなカーブを描いて右へと曲がっていく。


「色々迷惑かけて、唯には嫌な思いばっかりさせてもうて…
もう俺に会いたないって気持ちはわからんでもないけど、それやったらそう言うてくれな、俺どうしてええかわかれへんやんけ」


前を見たままゆっくりと紡がれた秋の言葉に、胸の真ん中が破れそうになった。


私はなんてバカなんだろう。

無言の返事が誤解を生むって、そんなこと、ちょっと考えればわかりそうなもんだ。
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