メルラバ
『あー…俺やけど』

その声に、心臓がどっくんと大きくジャンプして、手から携帯を落っことしそうになった。

『ごめん。寝てた?』

怒り口調で電話に出た私をどう思ったのか、秋が伺うように聞いてくる。

「う、ううん。起きてた」
『めっちゃ機嫌悪そうやったやん』

「あー…ちょっと仕事がね、詰まってて」
『忙しい?』

「忙しく…はないんだけど、明後日締め切りのエッセイの存在をすっかり忘れてて」
『忙しいんやん』

突っ込んで秋が笑う。
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