メルラバ
もし、また今度、似たようなことがあったら私はどうするんだろう?

可能性がないわけじゃない。

秋と付き合う限り、その試練はずっと付きまとう。

秋が芸人である限り、私が作家である限り、ずっとずっとそれはなくならないのだ。


「本日はご来場いただきありがとうございます。間もなく舞台開演となりますので――」

開演をお知らせする場内アナウンスでハッと我に返る。

カバンの中から携帯を取り出して、電源を切った。
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