メルラバ
「ご満足いただけましたかね、お姫様」

からかうように喉元で秋が笑って、私を見下ろす。

満足なんかするわけがない。

だって、恋はいつだって空腹なのだから。

だけど、これ以上わがままを言って秋を困らせるのもどうかと思い、仕方なく秋から手を離した。

「ありがとう。またね」

あっさり手を振る私に、今度は秋が口を尖らせる。
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