メルラバ
目が覚めると夕方だった。

雨はすっかりあがっていたけれど、窓から覗き見た空はどんよりしていて、見なきゃ良かったと思う。


…秋のせいだ。


秋が、今夜は月がきれいだとか、そんなメールを送ってくるから、窓から外の景色を見る癖がついてしまった。

シャッとカーテンを閉め、床に散らばった服を踏みつけて、書斎へと向かう。

秋からのメール。
それを今から削除する。

あんなもの、いつまでも受信トレイに残しておけない。
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