メルラバ
ひたひたと裸足の足音を響かせ、がこりと冷蔵庫のドアを開ける。

しゃがみ込むとパキリと膝が音をたてた。


お酒を飲まない私の冷蔵庫には、緑茶やミネラルウォーターのペットボトルがずらりと並んでいる。

その中から緑茶を1本取り出し、しゃがみ込んだまま一気に半分ほど飲んだ。

冷たく冷えたそれが乾いた私の喉を優しく撫ぜていく。


ふぅと息をついて口元を拭い、次はシャワーだとバスルームへと向かう途中で、急に、本当に唐突に思い出した。

「あ…メール」

秋、ゆう、間違いメール。
3日前、返事を出すかどうか悩んで放棄したソレ。


ソレが突然、私の記憶ファイルから引っ張りだされ、さあどうするんだと私を睨みつけている。

ああ、くそ。まいったな。
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