坂を降りると目の前に大きな池があった。

広めの舗装された道の両側に大きな木がたくさんあるので道のほとんどは木陰になっている。

まだ海は見えない。


さすがに子供には長い距離だったようだ。



「海まだ?」



瑞季の声に父親は「あと少し」と返答する。



「まだぁ?」



暁も疲れたようだ。

「ほら、お魚さん泳いでるよ」と母親は違う話題を振って気を紛らわせようとする。





「見て見て!」



瑞季の少し興奮した声がする。

母親の努力は少し報われたようだ。


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