ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
二人分の甘くて熱い吐息で、部屋の温度もいくらか上昇してしまったように熱い。
このままとろけて、一つになってしまいたい欲求を抑えながら我は菜々美に語りかけた。
「―――ぬしが望むなら、ぬしを我と同じものにしてやることもできる。…菜々美、ぬしはそれを望むのか?」
「………そうすればずっと愁のそばにいれるの?」
その問いに我が力強く頷くと、菜々美は小さく笑った。
「だったらそうしたい。ずっとずっと愁のそばにいたい。………独りぼっちになった日に、愁は私を助けてくれた。こんなに好きになるなんて、あのころは思わなかったなぁ…」
「―――我とて同じぞ。まさか人間に惚れるなぞ生まれてこのかた考えたことすらなかったわ」