ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
根は悩む
―――真っ赤に染まった頬と恥ずかしさから熱くなった身体をどうにかすべく、屋敷の外への出口を探して私は廊下をドカドカと歩いていた。
(愁の阿呆!デリカシーなさすぎ!)
さっきの愁の一言を思い出しては怒りと恥ずかしさがこみ上げる。
…そう。
今までずっと恋愛とは無縁な生活をしてきた。
所謂“恋人いない歴=年齢”なのだ。
だから、あんな風にあっさりと指摘されるとなんだか無性にむしゃくしゃしちゃうんだからね!
てか今気づいたけど、いつの間にかファーストキスだって奪われてるし!
そんなことを考えながら屋敷の門をくぐり抜け、その場でしゃがみ込む。
…愁の阿呆。