ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
(…え?)
その一言に、私は呆気にとられてしまった。
「あぁ、そんな話知らないって顔してるわね。私は正室候補。ま、あなたはなれても側室じゃない?妖弧でもない人間が愁様のそばにいること自体許されないことだもの。例え妖弧に転成しても、力なんてないに等しい。………そんなもの、愁様にとって何の得にもならないわ」
わかるわね、と綺麗に笑ってみせるその人に私は身動き一つとれなかった。
…頭が全く働かない。
正室とか側室なんて時代錯誤なシステム以上に、私が彼の役に立たないというその一言が。
それだけが、私の脳裏を駆け巡っている。