ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
―――――パアァァアンっ!!
ものすごい大きな、乾いた音が一つ。
私は何の躊躇もなくそいつにお見舞いしてやったのだ。
「あんたね!祭りの空気ぶちこわしてんじゃないわよ!」
「、ん…だとテメェ!?」
私に平手打ちされた男はわなわなと震えてすごんでくる。だけど私は一歩も引かずにさらに啖呵を切ってやった。
「瞳の色が違うのがなんなの!?…それでも愁は自分から逃げないで生きてるじゃない。自分の役割を果たすために努力してるじゃない!そんなこともわからないあんたたちが愁を悪く言う権利なんかない!」
平手打ちした手がジンジン痛む。
でも、それ以上に愁はもっと痛いんだ。苦しいんだ。