ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-





あとで聞いた話だけどこの祭りは5年に一度しか開かれないもので、子供も大人もみんながこれを楽しみにしているらしい。
それをぶちこわしにした一団はここでは完全に悪者扱い。…まぁ、間違いなく悪者だよね。


そんな子供たちの声に大人も加勢し始め、一団はいよいよ分が悪い。
それを最初は呆気にとられた様子で見ていた愁だったけど、ニヤリと笑って燈を呼ぶ。



「燈、こいつら一晩牢に入れておけ。祭りの邪魔ぞ」


そう告げると辺りからは喝采の拍手と歓声が鳴り響く。
愁は私の肩を抱いて、さらにこう言い放つのだった。



「―――我のせいで祭りに水を差してしまったな。さぁ、改めて祭りを楽しもうではないか!」


その一言を皮切りに、辺りは再びお祭り独特の賑やかさを取り戻していく。
愁と私はその様子に、顔を見合わせて笑うのだった。





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