ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
愁の腕が熱い。
触れ合ってる部分が熱くて、私の気持ちの一番頑なだった部分が溶かされてしまう。
心音が頭に響く。
…これを言ったらもう後戻りはできないんだ。
―――でも、言わなきゃ愁との未来もなくなっちゃう。
愁との、永遠。
愁の全部を私のものにできる魔法の言葉。
「いいよ。私、愁のものになりたい」
そう答えた瞬間、私の身体は宙に浮いた。あっという間に屋敷の中の、私の知らない部屋の前にいて、愁に後ろから抱きしめられたままその部屋の中に連れて行かれるのだった。