ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
最初から噛みつくように合わせられた唇は想像以上に熱い。
「…ぅ、ふぁ――…」
―――愁、愁。
声にならない声まで飲み込むように私を貪る愁の掌が私の背中や腰を撫で、ゆっくりと私を布団の上に押し倒す。
(なにも考えられない)
愁はキスを続けながら私の着物の袷目に手をかける。そこを一気にかき分けると、肩が外気に触れてひんやりとした。
「菜々美の唇が甘いのは知っておるが、なれば身体中至る所も甘いのであろうな?」
唇を離してそうつぶやくと、愁はその熱い舌を使って私を味わいだした。
ざらりとした舌の感触とわずかに聞こえる水音に、おかしくなりそうで。