ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
愁の、とろけるような甘い声。
その声に涙が止まらなくなった私は歪む視界の中私を支配する愁にしがみついた。
「んぁ、は、………愁、ぅんっ」
「…な、なみ。イきそ…、」
痛みから始まった律動が徐々に甘い快感を伴ってくると、私はこらえきれなくてこみ上げるままに声を上げる。
するとそれに反応するように愁自身が質量を増していって、私の中を目一杯かき回していくのだ。
(す、ご…)
覆い被さってくる愁と舌を絡ませ、吐息も汗も体温も境界線がなくなっていく。
―――溶け合ってこのまま一つになって、愁に食い尽くされる自分を想像したら心臓がズクンと疼いた。