ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-





「朝からやかましいやつよの。我の名は愁、好きに呼べ。………風呂は、飯のあとよ。体力を使う故」


そう言う愁の顔色は確かにあまり良くは見えない。心配になった私は思わず彼の横に駆け寄った。



「…本当顔色悪いけど大丈夫?」


「我らは力を使う故、大量に食すのでな。心配するなら、早よう飯をくれ」


そう言うと愁はテーブルに頭を乗せぐったりとする。
その姿に、私は慌てて台所に戻ったのだった。




数十分後、卵焼きにウインナー、ほうれん草の胡麻和え、白米に豆腐とネギの味噌汁を幸せそうに食べ始める愁を見て、こちらまでほっこりした気分になった。


(…これが100%人間ならな)


そう思ったのは内緒。





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