ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
「―――たかだか数十年で、こちらの世は斯様に変わったか…」
今は愁を連れて駅前のショッピングモールに買い物に来ています。
駅前の賑わいを見て、愁はそうつぶやくと呆然と辺りを見渡している。
「え?…って、来たことあるの!?」
そう訊ねると、愁は戸惑うような視線を私に向ける。
「幽閉される前よ。―――最後に来たときは、ちょうどこの辺一帯が焼け野原になっていて、何が起きたのかと驚いたがな」
(え。…焼け野原って)
「戦時中?ってことは、…あなた、何歳?」