ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
どう見たって20代な目の前の愁。
でも、今の言いっぷりからしたらどう考えたっておじいちゃんな年齢なんじゃないの?
私が答えを待っていると、はぁと短いため息が聞こえた。
「そうよな、世話になる以上黙っておるのもな。…我はもうすぐ齢三百になる。と言っても我ら妖弧は千は生きるからな、主の考えている老人とは程遠いものよ」
そう言うとびっくりして動けない私の腕を掴み早く行こうとせかす。
「どうした?早よう案内せよ」
「…いやいやいやいや、こっちはびっくりしてるのになんなのよ。少しは待ちなさいよ!」
私がそう答えると、愁は困ったように息を吐くのであった。