ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
月は笑う
お母さんが死んで、猫を拾って、そしたらその猫は人間で。
さらに我は人間でない、妖弧だと主張して我が家に住み着いてから一週間が経った。
「ただいま〜、っと」
仕事に復帰した私が買い物を済ませて家に帰ると、リビングから愁が顔をのぞかせた。
「うむ、よく帰った。して今夜の飯は何ぞ」
「今夜?寒いから鍋にするよ。棚の下から土鍋出してちょうだい」
「…我を使うとは」
そう言いながらきちんと手伝ってくれる愁に密かに笑いながら、私は着替えるため自室に向かった。