ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
「菜々美、何を―――…」
そのとき、タイミング良く愁が私の部屋のドアを開けたのだ。
愁の目の前には、見知らぬ男に羽交い締めにされて首元に刃物をあてられた私の姿。
次の瞬間、愁の瞳がギラリと光った。
「…燈、悪ふざけが過ぎるぞ。即刻そやつを離せ」
「し、愁様!ご無事であらせられたのですね!?」
(どういうこと?)
どうやら愁とこの不審者は知り合いらしい。
だったら早く解放してほしい、と思ったら通じるわけもなく。
「燈、二度は言わぬ。―――そやつを離せ!」