ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
「―――さて。菜々美、ぬしに頼みがある」
鍋を囲み、まさに食べようとした瞬間愁はそう切り出した。
…何となく話の内容は察しがつく。
「何よ?」
「これは我の側近の燈(とう)。…我とともにここに置いてやってはくれまいか」
(…やっぱり!)
「………ちゃんと私が害のない人間だって理解してくれたのなら、仕方ないわ。どうぞ」
「礼を言う。ちなみにこやつは家事全般ができるよう仕込まれておる。好きに使え」
愁がそう言うと燈は私に深く頭を下げ、さっきの行為を深く詫びるのだった。