ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
「………綺麗な色なのにね、その瞳」
思わず口から出た言葉に、私は少しだけ後悔した。
簡単に言っちゃいけなかった言葉だったんじゃないか、とか。この言葉でさらに傷つけたんじゃないか、とか。
でも、次の瞬間そんな考えは全部吹っ飛んでしまった。
「―――誠、変わった女ぞ」
私の身体をぐっと引き寄せて、あっという間に自分の腕の中に閉じこめる。
すっぽりと私を覆う大きな背中。思ったよりあったかい愁の体温。
柔らかい、愁の匂い。
抵抗しようと思ったのにできなくて、私は愁に抱きしめられたままでいた。