ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
―――それから。
あっという間に葬儀の一切合切が終わり、参列者が1人、また1人と帰っていく。
最後まで残ってくれていた叔母さん夫婦に丁寧に頭を下げ見送ると、私も母の位牌と写真と一緒に斎場を後にした。
(雨、やまないな………)
帰りのタクシーの中、未だ降り止まない雨に憂鬱な気分になる。
ふと外に目をやると、野良猫だろうかずぶ濡れになった猫がいる。
私と同じ、ひとりぼっち。
(…独り、かぁ)
いいようのない寂しさがこみ上げてきて、私はぎゅっと目をつぶった。