ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
聞き覚えのある声に私が安心して笑うと、愁は私の頭を小突く。
「…臆することはない。ただの三下よ」
「え?」
「ぬしが怯えていたものの正体よ。燈が駆除をしに行った故、我らはゆるりと帰るぞ」
そう言うと愁は私が持っていた買い物袋をさりげなく手に取り、笑いかける。
(…変わった)
―――抱き寄せられた日から、愁の様子が何となく変わった。
穏やかな表情をしていることが多くなり、私に対しても優しくなって。
だから、私はそんな愁にドキドキしてしまうんだ。