ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
私がお風呂から出てリビングに戻ると、燈の姿はなくて愁だけがテレビを見ていた。
「あれ、燈は?」
「周辺の見回りぞ。我を狙う輩がいないとも限らぬ故な」
そうさらっと言ってのける愁に、私はタオルドライしている手を止める。
「何それ。愁、狙われてんの?」
「これでも里では位が高いのよ。位が高ければ狙われるのはこちらも変わらぬであろう?」
(…もしかして)
「―――だから、幽閉だなんて…?」