ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
霧は隠す
―――コポリ、コポリ。
…水の音がする。
ここはどこ?
(…ん)
私はそっと目を開けて、音の正体を探した。
何の変哲のない部屋。
でも、私の部屋じゃないのだけは確かで。
必死で記憶をたどって、私はふと首筋に手を当てた。するとそこには小さな刺し傷のような傷。
(―――倒れたんだ。でも、なんで?)
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