ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
怒りに任せて梗を仕留めようとしたがすでに逃げてしまったあとで、我は辺り一面を焦土としていた。
“黄金色の瞳を持たぬ天弧は、里に不幸をまき散らす”………皮肉にも自らの手でその事実を晒した我は、父上に願い出て自ら屋敷の一室に幽閉された。
…許せなかった。
母上を助けられなかった自分を、激情を抑えきれなかった自分を。
後悔と懺悔の中で、たどり着いた結論は一つだけだった。
………我は、里に要らぬ…
―――幽閉されてから数十年後のある朝、我は里から姿を消した。
まるで死期を悟った猫のように、我は消えた。