ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
「………誰が止めても、やめない、んだよね?」
しゃくりあげながらそう言う私に、愁は困ったように笑った。
「…そうよ。ぬしは軽蔑するであろう。結局は我もぬしら人間とは異なる。我も所詮は梗と同じ妖弧よ、こればかりはどうすることもできぬ」
「―――だったらせめて愁は無事でいて。愁に何かあったら、私………」
何もできないなら、せめて無事を。
そう思って言った言葉は最後まで言うことができなかった。
(……………!)
目の前には愁の顔。
キスされていることに気づいた私が後ずさると、愁は自分の唇を舐めてニヤリと笑っていた。