ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
綺麗な、青紫色の瞳。
怯えているのか怒っているのか、猫は弱々しく私を威嚇してくる。
「…大丈夫だよ?ここはあったかいし安全だから」
そう言って頭から背中までゆっくり撫でてやると、ぎこちなく私にすり寄ってきた。
(かわいい)
そんな猫の姿にほっとした私は、静かに家の中に入ると玄関に置いてあるタオルで猫の体を拭いた。
「よし。じゃあついておいで!」
そう猫に話しかけると、人の言葉がわかるのか大人しくあとをついてくる。リビングにあるホットカーペットの電源をつけ、部屋からクッションを持ってきてカーペットの上に置くと猫はその上に乗った。