ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
そんな風に思った私が決意の瞳を夕暮れ時の空に向けた瞬間、目の前に人影が現れた。
「―――ハジメマシテ」
そう言ったのは、愁と同じ銀の髪に黄金色の瞳を持つ男の人。
「だ、誰…!?」
「誰だっていいじゃありませんか。…あなたは贄。僕がなすべき復讐の、生贄」
そう告げるとその人は私の目元に手をかざす。
次の瞬間、逆らえないくらいの眠気が私を襲い、意志に反してまぶたが下がってくる。
「さぁ眠りなさい。―――ショーの幕開けです」
(―――愁!)
そう話しているうちに意識を手放してしまった私を担ぐと、彼は私ごと暗闇に消えていく。
その場に残されたのは燈にもらった膝掛けだけだった。