ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
恋は成る
………ちゅ、ちゅっ。
目を閉じて愁からのキスを受け入れる。
触れては離れ、また触れて。
角度を変えながら啄むように私の唇を夢中で吸い上げる愁の腰に腕を回すと、不意に唇が離れた。
「よく聞け」
額同士をくっつけ、今にもまた重なってしまう距離で吐息と一緒に吐き出される愁の声。
「―――ぬしに拾われたそのときから、我はぬしに惹かれておった。ぬしが欲しかった。…我に捕らわれる覚悟はあろうな?」
「…愁になら、いいよ」
そう答えると愁はまた唇を寄せる。
私を抱きしめる腕にいっそう力を込め、強く強く唇を重ねていった。