ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
「―――ん、…ぁ」
ふと唇を薄く開いた瞬間にねじ込まれた愁の舌が上顎をなぞる。その瞬間背中をぞくぞくした何かが通っていって、私はたまらず声を漏らしてしまった。
恥ずかしい、のに。
(…きもちいい)
そう思えば思うほど身体の力が抜けていって、愁の腕がなかったら布団の上に倒れてしまうかもしれない。
トロンとしていく意識の中、愁の舌の動きだけが妙に鮮明だった。
「…は、ァ…」
「………ン、菜々美、」
二人の吐息と掠れた愁の声。
愁の喉がゴクリと鳴る音に、私の心音はいっそう高鳴るのだった。