ある夕方の拾いモノ -狐と私、時々愛-
ひたすら、ただ、ひたすらに愁は私を離さなかった。
舌は執拗に私の中をかき回していく。ずっと開きっぱなしの唇の端から飲みきれなかった唾がこぼれていくけど、それにかまう余裕もない。
ようやく愁が離れていったとき、もう私の頭はとろけきっていてなんにも考えられなかった。
「…甘いな」
吐き出す息と一緒に放たれた言葉に私は首を傾げる。
すると、愁は私の唇を親指の腹で触れた。そして唇の端から漏れた唾を丹念に舐めとる。
「ぬしは甘い。…これ以上触れていたらいくら我とて我慢がきかぬよ」
そう言うと私を布団に寝かせてくれた。