校舎裏には秘密がある
「でもまあ、花壇がいつ無くなるか知らねえけど」
「春樹が……、春樹が夏休みも来てやってくれるなら、無くならないかもね」
「何で? 優花、夏休み来れないのか?」
彼女は少し黙り、再び口を開いた。
「夏休みの間、家族で遠くに行くの。ごめんね」
「そんなことかあ。なら仕方ねえな」
蝉が俺達の話を遮るかのように、大きく鳴いた。
「そういえば春樹、昨日は上手くいったみたいだね」
「わ、分かるのか!?」
「うん」
彼女はクスクスッと笑い、俺の顔を指差した。
「私が来た時、凄く幸せそうな顔してた」
「俺って顔に出るのかな……」
「かもね」
俺達はおかしくなり、大笑いした。
人見知りすると、怖い顔になるしな。