校舎裏には秘密がある

「友達も出来たんだ、原木って名前の」

「原木……?」

彼女の顔が曇るのを、声だけで分かった。


「へえ、原木って春樹と同じクラスだったんだ」

「原木と……知り合い、なのか?」

「春樹に関係ない」

彼女は怒って俺の側から離れた。


「ごめん優花。お願いだから俺を避けるなよ。悲しいじゃんか」

俺は土下座して謝った。


「春樹、もうこんな話止めよう。あたし、春樹とは楽しい思い出だけ作りたい」

「ああ。俺も、優花とは楽しい思い出ばっか作りてえよ」

そう言うと、彼女は俺の方を向いて優しく微笑んだ。

俺は彼女の笑顔が大好きだ。

でもそれが友達としてなのか、恋愛としてなのか、俺には分からなかった。


「今日は挨拶するのがミッションだよ」

彼女は始めと同じミッションを言ってきた。


< 34 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop