校舎裏には秘密がある
「友達も出来たんだ、原木って名前の」
「原木……?」
彼女の顔が曇るのを、声だけで分かった。
「へえ、原木って春樹と同じクラスだったんだ」
「原木と……知り合い、なのか?」
「春樹に関係ない」
彼女は怒って俺の側から離れた。
「ごめん優花。お願いだから俺を避けるなよ。悲しいじゃんか」
俺は土下座して謝った。
「春樹、もうこんな話止めよう。あたし、春樹とは楽しい思い出だけ作りたい」
「ああ。俺も、優花とは楽しい思い出ばっか作りてえよ」
そう言うと、彼女は俺の方を向いて優しく微笑んだ。
俺は彼女の笑顔が大好きだ。
でもそれが友達としてなのか、恋愛としてなのか、俺には分からなかった。
「今日は挨拶するのがミッションだよ」
彼女は始めと同じミッションを言ってきた。