校舎裏には秘密がある
「ね、あたしのこと、優花って呼んでよ」
「無理」
「まずは私の名前を呼ぶのが人見知り克服法です!」
彼女は人差し指を立てて言った。
「何なんだよ、その時々敬語使うの」
「あたしの口調だよ。悪い?」
俺は顔を横に振った。
すると彼女はまた笑顔になる。
「優花」
「なあに?」
彼女は首を傾げる。
その仕草に俺の胸は弾く。
「俺、人見知りを夏休み入るまでに直す。そんで、友達作って夏祭りとか約束する」
「良いね、その目標。でも夏休みまで後1週間しかないよ。出来る?」
俺は頷く。
「出来る。優花がついてくれるから」
「何それ。最高の言葉じゃん」
初めて彼女の照れる顔を見た。
にこにこしてて、嬉しそうだ。
良かった。