恋のつぼみ
やばい、ますます泣けてくる
これで後戻りはできなくなった
美紗の幼なじみとして、お兄ちゃんとして優しかった敬太
あー、もう何もかも終わりなんだ
「・・・・〜っ!」
この場にいたって、この沈黙が痛いだけ
また逃げだそうとした
けど、それを見逃さない腕に捕まった
「っ!は、はなしてよっ。」
「嫌だ!」
「なんで、なんで敬太は美紗の邪魔ばかりするの?
こっ、告白も上手くしようって思ってたのに!」
どうせ振るなら、こんな格好悪いことさせないでよ
きっと今だって涙でぐちゃぐちゃな顔だし
「美紗、落ち着いて。」
いつものように優しい声色で
優しい笑顔で話す敬太
「落ち着いてなんかできないよ!
もうっ、めちゃくちゃだよー。」
「美紗、俺の話聞いて?」
「いやっ。聞きたくない!」
振られるなら、今は聞きたくない
今は思ってもないこと言って敬太を傷つけちゃう
「いいから、黙って聞けって。」
あっという間に敬太の匂いに包まれた