恋のつぼみ
「・・・・うー。」
卑怯だ
好きな人に抱きしめられたら、どんな子だって大人しくなっちゃうよ
「美紗。」
耳元で囁かれるいつも聞いていた優しい声
少し安心する
だけどそれと同時に告白に対しての大きな不安が襲ってくる
「・・・・・敬太。同情はしないで。」
「えっ?」
「美紗は敬太の優しさとかで付き合ってもらっても嬉しくない。」
はあああ
と、頭の上からため息が聞こえた
ああ、美紗は敬太を困らせてばっかりだな
早く振ってよ
この沈黙がわずかの期待に繋がる前に
「あのな、美紗は勘違いしてるぞ?」
「はあ?」
勘違いっていつしたのよ
「なんで、俺が同情とかで付き合わなきゃいけないんだ?」
ああ、心配しなくても
敬太は同情でも美紗と付き合いたくなかったのね
「いい、何も言わないで。」
回りくどい言い方するならはっきり言ってよ
言えないなら、さっさっとどこか行ってよおお
「ダメだ!聞いてくれ。」