恋のつぼみ





彼の名前は江藤さん
21歳の近くの大学に通う学生

前に、パン屋で働く理由を聞いたときに教えてもらった
パン屋で働くのは売れ残りが貰えるから
貧乏学生には助かるのだ、と言っていた



私はいつものように江藤さんの横に並ぶ

レジでお会計をする江藤さんの横で、お客さんが買ったパンを袋にいれる


そんな単純作業だが、パンの種類によって崩れやすかったり
また、パンの名前も長くて覚えるのが大変


だけど、『お客様は神様。笑顔は忘れるな。』という店長の格言のもと、私も江藤さんも常に笑顔で接客する




「「ありがとうございました。」」


最後のお客さんが帰り、店内は私と江藤さんの二人きり


いつも忙しいのに、今日に限って・・・



「珍しいね。」

「えっ!?」

「お客さん少ないな。」

突然の会話に驚いたが、不自然に思われるのも嫌だからまたまた、慣れないポーカーフェースで言ってみる

「・・・・そうですね。」


「ゆうちゃん、今日元気ないね。
何か学校であった?」


やっぱり、ポーカーフェースは苦手みたい

「べ、別に何もありません。」

つい、可愛くない言い方をしてしまう

こんなんだから、私はもてないし
好きになってもらえない








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