恋のつぼみ




カララン♪

店の入口に付けられた鈴が鳴る

お客さんの顔を見る前に私は誰だかわかった


「江藤くぅーん。パン買いに来たよん」

この鼻につく甘ったるい声

3日に1度の頻度で来る、常連でいて私の最大のライバルだ


ぞろぞろと6人くらいの中で先頭に立って江藤さんを見る彼女は江藤さんと同じ大学の人


他のみなさんも同じで、江藤さんの友達だ
女、男が3人ずつ
みんな綺麗な人で、私は隠れたい衝動にかけられる

けど、バイト中それはできないから
私はレジを離れ、パンの陳列を整理しに行く


この時ほど、私が自分の存在を消してしまいたいと思うときはない


誰から見ても美男美女の江藤さんと彼女を見ると、胸が締め付けられるほど痛い


「あの、そのパン貰っていいですか?」

「えっ!?」

振り向くと、江藤さんの友達の一人の男の人が立っていた
江藤さんより背が高くてモデルのようにかっこいい人


「す、すみません。」

すぐに私がこの人の買い物の邪魔をしてるとわかり隣の棚に移動する


「いいよ。いつも頑張ってて偉いね。」

そう言い、王子様のように爽やかな笑顔で笑って、私の頭をポンポンした


江藤さんのように


けど、不思議とドキドキはなく
やっぱり寂しさが沸くだけだった






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