天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
エレベーターが開くと、そこに、上司の中村が立っていた。

「ようこそ!上野くん」

中村は笑みを浮かべたまま、沙知絵に握手を求めた。

沙知絵は握手を返しながら、周りを見た。

「ここは…」

乗ってきたエレベーターに表示がなかった為、わからなかったが、

3分は乗っていた。

結構な地下だ。

「まだここは、入り口に過ぎない。きみに見せたいのは、奥にある」

真っ暗であまり見えない通路は、ひたすら真っ直ぐ闇中を伸びていた。


中村に促されて歩く沙知絵は、真っ直ぐな通路が、距離をおいて区切られていることに、気付いた。

闇に慣れてきて、壁を見つめる沙知絵に、中村は言った。

「防護壁さ…一応核シェルターの一種と思って貰っていい」

中村は、真っ直ぐに前だけを見て、歩きながら、

「一応…死んでるんだが…もしもの為さ」

5分は歩いただろうか。

やっと、行き止まりの鉄の扉が見えた。

「あまり…驚かないでくれたまえ…ここは、声が響くのでねえ」

中村は、扉の横にあるパネルに、親指を押しつけた。

指紋確認のようだ。

三メートルくらいの厚みのある鋼鉄の扉が左右に開き、

明かりが中からこぼれてきた。


眩しさに、目を細めた沙知絵の前に、運命が横たわっていた。
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