天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
持っていたカードを握り潰した舞子は、ため息さえ凍らせて、

夜空の下…研究所の屋上にいた。

ただ星空を見上げていると、舞子に近づく者がいた。

唐突に現れた者を、あまり気に留めず、星を眺め続ける舞子の隣で、

足をとめて、その者は苦笑した。

「どうして…このようなことをしてるのかしら?」



「……」

舞子はこたえない。

「あんたは…我々と今は、行動を共にしているけど…こっち側の人間のはず…」


しばしの沈黙の後、

舞子は口を開いた。

「この世界に…何の感傷もないわ。あたしはただ…あいつを殺したいだけ」

「赤星浩一?」

この問いにも、舞子はこたえない。

「あなたは……人間を守りたかったんじゃないの?」

「…」

舞子は、星空から視線を外し、自嘲気味に笑うと、ゆっくりと、夜空に背を向けた。

「あたしは……人間を守りたかった…あの人を守りたかっただけ…」

舞子は、歩きだした。

「あんたには……わからないでしょうね……リンネ…」

歩き去る舞子の方を見ようともせず、リンネは視線だけを、少し上げた。



もう…背中に舞子の気配は、消えていた。


数秒後、リンネも消えた。

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