天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「バンパイアか……」

舞子も、高校生時代とほとんど変わっていないが、

赤星は、まったく変化がない。あの頃のままだ。

魔物中でも、特にバンパイアは不死である為か…年を取るスピードが、驚愕的に遅い。

「あなたは…」

僕は無防備のまま、舞子に近づいた。

「知らない。確かに、クラークに止めをさしたのは、僕だ!だけど、彼は…僕に人の未来を託して、死んでいったんだ」

近づいく僕の足下が、凍り付いた。

「そんなことわかっている」

凍り付いた足は、すぐに氷が砕け、僕の歩みは止まらない。何度も、足が凍るが、砕ける。

舞子は魔力を最大にして、僕の全身を凍らしても、すぐにもとに戻る。


「さすがは…太陽のバンパイア」

舞子は、噂にはきいていた。赤星は、バンパイアの異端だと。


舞子は、思わず後退ろうとする己の足を、凍らせて、逃げないようにした。

キリッと唇を噛みしめ、赤星を睨む。

「そんなことは、わかっている!お前が、あの人の意志を継ぎ…ブルーワールドを救ったことを!だけどな!」

舞子の姿が、変わる。全身が、氷よりも冷たくなり、凄まじい冷気を、周りに放つ。

それでも、赤星の気により、冷気は消えていく。

「愛する人を、殺した相手を許すことなんて、できるか!」

舞子の叫びが、ブリザードになり、赤星にかかるが、

軽く手をかざしただけで、ブリザードが消されていく。


「僕は…まだ、あなたに殺されるわけにはいかない」

僕は、舞子のすぐ目の前で立ち止まった。


「だったら……」

舞子は、血がでるほど唇を噛みしめ、絶叫した。

「あたしを殺せ!」 
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