天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「彼らは…死んでいるんだろ?」

美奈子は、明菜にきいた。

頷く明菜に、美奈子は頷き返すと、二人はその場から歩き去ろうとした。

しかし、神野だけは動かなかった。

「どうした?」

美奈子は、振り返った。

神野は次元刀を、握り締めた。

「残念ながら…掘り起こさなくても……向こうから、来るみたいですよ」

神野は、自分の真下に次元刀を突き刺した。

地面の中から、空気を震わす断末魔が聞こえた。

微かに指先だけが、地面から出ていた。

「何!?」

目を見張る美奈子の隣にいた明菜が、悲鳴を上げた。

いつのまにか、囲まれていた。腐り、変色した肌を持つ…人間…ではない。

人間の名残を残した化け物と化した人の…ゾンビ。

その数約40体。

数メートルの距離をとって、三人を囲んでいた。

「早く!こっちへ」

地面から、次元刀を引き抜いた神野は、切っ先をゾンビに向けた。


三人は背中合わせになり、ゾンビ達と対峙する。

「人から…化け物になって…さらに、ゾンビって…おかしいだろ」

美奈子は、近づいてくるゾンビ達に毒づいた。

「完全に…始末しなかったんだな」

神野は、刃と地面と水平にすると、にやりと笑った。

「まあ…ゾンビになった方が…俺は、始末しやすい」

神野は、明菜と美奈子を支点にして、一回転した。


すると、ゾンビ達の首が一斉に、吹き飛んだ。

「御免!」

さらに、膝を地面に付き、姿勢を下げると、また横凪ぎに払うと、神野の前にいたゾンビ達の足が切られ、

ゾンビ達は、前のめりに倒れた。

「あそこから、逃げましょう!」

足を切り取った集団の方へ、神野はダッシュした。

明菜と美奈子も後ろに、続く。

「衝撃波ってやつか?そんなのだせたら、最初から…」

美奈子の言葉に、走りながら、剣を振るう神野は、

「初めてやりましたよ!できるんなんて、思わなかった……。なんか、剣を握ってると、こいつがやれと」

神野は、左右に衝撃波を飛ばし、逃走路を確保していた。

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