天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
「あれが…神野さんの…」
明菜は、沙知絵が消え去った方を見つめた。
「今のは…見た目は、人間だったが…」
美奈子も、同じ方向を見た。
姿は人間だったが、跳躍力は人間を、軽く凌駕していた。
「く!」
沙知絵が去った方向へ、堪らずに走りだそうとした神野は、一歩で踏み止まった。
「人間ってやつは…そんなに強くない…」
神野は、次元刀を下げた。
「進化し…人間じゃなくなった者の中には、発狂したり…自我を失う者も多い…。そんな中で、今までの自分とは違う…新たな人格が形成される場合が…ある」
神野は、明菜の方に体を向けると、次元刀を戻した。
「神野さん…」
二人は向かい合うが、明菜にかける言葉がない。
「沙知絵の…沙知絵としての自我は、崩壊している。それは…最後に会った時に、沙知絵からきかされていた」
神野は、転がっている義手を見つめた後、
明菜の横を、擦り抜けて行った。
「気にしなくてもいい…今度あいつに会ったら、斬る!」
斬ると力強く言い放った神野の気持ちを察して、明菜は口を紡いだ。
美奈子は、そんな神野をただ見つめる。
そして、大きく息を吐くと、
「性格や人格が、変わったとしても…相手のすべてが、変わったわけじゃない」
美奈子は、神野を凝視し、
「斬れる?」
「ああ」
神野は即答した。
沙知絵を斬る。それが、神野の目的であり、
それができるか、できないかで、美奈子達の在り方が変わった。
口では斬ると言っていたが、実物に会い、迷うならば…そんなやつと、ともにすることはできない。
神野はフッと笑うと、次元刀の柄を、美奈子に向け、
「その時は、俺を斬って下さい」
じっと美奈子の目を見つめる神野の瞳の強さに、
美奈子は、次元刀を受け取らず、神野の横を擦り抜ける。
「今は…信じてるから」
美奈子は、心配そうに二人を見ていた明菜の肩を、ぽんと叩いた。
明菜は、沙知絵が消え去った方を見つめた。
「今のは…見た目は、人間だったが…」
美奈子も、同じ方向を見た。
姿は人間だったが、跳躍力は人間を、軽く凌駕していた。
「く!」
沙知絵が去った方向へ、堪らずに走りだそうとした神野は、一歩で踏み止まった。
「人間ってやつは…そんなに強くない…」
神野は、次元刀を下げた。
「進化し…人間じゃなくなった者の中には、発狂したり…自我を失う者も多い…。そんな中で、今までの自分とは違う…新たな人格が形成される場合が…ある」
神野は、明菜の方に体を向けると、次元刀を戻した。
「神野さん…」
二人は向かい合うが、明菜にかける言葉がない。
「沙知絵の…沙知絵としての自我は、崩壊している。それは…最後に会った時に、沙知絵からきかされていた」
神野は、転がっている義手を見つめた後、
明菜の横を、擦り抜けて行った。
「気にしなくてもいい…今度あいつに会ったら、斬る!」
斬ると力強く言い放った神野の気持ちを察して、明菜は口を紡いだ。
美奈子は、そんな神野をただ見つめる。
そして、大きく息を吐くと、
「性格や人格が、変わったとしても…相手のすべてが、変わったわけじゃない」
美奈子は、神野を凝視し、
「斬れる?」
「ああ」
神野は即答した。
沙知絵を斬る。それが、神野の目的であり、
それができるか、できないかで、美奈子達の在り方が変わった。
口では斬ると言っていたが、実物に会い、迷うならば…そんなやつと、ともにすることはできない。
神野はフッと笑うと、次元刀の柄を、美奈子に向け、
「その時は、俺を斬って下さい」
じっと美奈子の目を見つめる神野の瞳の強さに、
美奈子は、次元刀を受け取らず、神野の横を擦り抜ける。
「今は…信じてるから」
美奈子は、心配そうに二人を見ていた明菜の肩を、ぽんと叩いた。