天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
夕焼けの光にも、消されない程の存在感という輝きを放ちながら、

こちらに近づいてくる男に、沙耶は心を奪われた。

それは、すれ違う刹那のように、沙耶は感じたけど…実際はすれ違うまで、数分はあった。

180以上ある身長に、ハーフだと思われる堀の深さ。

髪はさらさらで、風になびき、

体は細いが、華奢という印象を与えなかった。

(歳は…多分…同じくらい…高校生だ)

と思ったのは、制服を着ていたからだ。

学校は、わからないが、学生に間違いなかった。

「あ…」

近づく程に、顔が俯き、

すれ違い…離れてる程に、顔は上がり、

沙耶は振り返った。

少年の背中が、遠ざかっていく。


少年が、振り返らない確信がなぜかあった。

沙耶は、しばらく少年の後ろ姿を見送った。

すれ違った時、少年が何かを呟いた。

自分の世界に落ちた沙耶には、聞き取れなかったけど………

もし、聞こえていたら、

運命は変わったかもしれない。



昨日の今日、沙耶はまた同じ時間に、同じ道を通っていた。


しかし、

変わらないから、運命なのだ。


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