天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
毒づいたアルテミアに、男は笑いかけた。

「魔法は使えないが、この世界には、科学がある」

男の全身は、電気を帯び、放電していた。

「僕は…貴方と同じ、電気を使える。電気うなぎを知ってるかな?あれと同じような体細胞に進化して、得ることができた」

男は、ゆっくりと近づいてくる。

「その特性をさらに生かし、兵器をする為に、僕は左手を新しくコーディネートしたのさ」


「生体レーザーか」

漫画ではよくあるが、実物は初めて見た。

「我々は、魔法などという…他力本願の力などいらない!この世界にある…自然が与えた能力によって、力を行使する」

男は近づいてくるが、アルテミアは動かない。

「電気うなぎが…人と同じ大きさなら…。昆虫や、爬虫類が…大きければ…地球の生態系は、どうなっていただろうね」

男は左手を、アルテミアのこめかみに、つけた。

「天空の女神ともあろうものが…恐怖で動けないの?」



「フフフフ…」

アルテミアは笑った。

「知るかよ…。虫は虫だ…大きくなったところで、大したことはない。それに…」

アルテミアは、そばにある男の顔を、目だけで見上げ、

「自然と言ってるが…その手は何だ?機械だろ?お前の言うことに、説得力がないぜ」

馬鹿にしたように、笑うアルテミアに、男はキレた。

「もういいわ…お前に用はないしな」

額に当てた左手から、レーザーが発射された刹那、

男の左手の甲から、レーザー光線が飛び出した。

「な!」

男は驚き、アルテミアと離れながら、破壊された人差し指以外を向け、レーザー光線を放った。

しかし、アルテミアに当たる瞬間、光線は軌道を変えた。

「光は、まっすぐ飛ぶわけではない。埃や粒子……障害によって、屈折する」


レーザーは橋の側面を、少し抉った。

「アルテミア!橋に気を付けて!」

直撃すれば、大惨事になる。
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